豊羽鉱山産閃亜鉛鉱−亜鉛インジウム鉱固溶体の成長累帯構造

In distribution in sphalerite
(インジウム濃度分布図)

Cu distribution in sphalerite
(銅濃度分布図)

 豊羽鉱山のインジウム鉱物で経済的に最も重要(量が多い)のは 亜鉛インジウム鉱 CuZn2InS4 と閃亜鉛鉱 ZnS の固溶体(固体どうしが溶け合ったもの)です. 上の2つのイメ−ジは,この固溶体中のインジウムと銅の濃度分布を示したものです. 固溶体結晶が成長してできた累体構造がはっきりと見えます. イメ−ジのあらわす領域の実際の横幅は 0.3mm です.

 ZnS を Zn4S4 と表現し, 2個の亜鉛 (ZnZn) を銅とインジウム (CuIn) のペアで置き換えると 亜鉛インジウム鉱の組成になります. この置き換えが100%でなければ, 閃亜鉛鉱と亜鉛インジウム鉱の間の組成の鉱物になります. 上のイメ−ジで最もインジウム濃度の高い(赤い)部分がほぼ亜鉛インジウム鉱, 最も低い(黒い)部分が閃亜鉛鉱に相当します. (実際には亜鉛の一部を鉄が置き換えたりして,化学組成はもっと複雑になります)

 この解釈が正しいことは上下2つのイメ−ジが大変よく似ていることでわかります. つまり,2つのイメ−ジはインジウムと銅がペアを組んで, 亜鉛2個を置き換えることにより,閃亜鉛鉱の構造の中に入ることを証明しているのです.