GIFやJPGなどのラスタ−画像がインタ−ネットのあらゆる場面で使用されているのに較べて、 ベクトル画像のポ−タビリテイがあまりにも低かったことのひとつの理由は、 世界的な標準の確立が遅れていたためです。
このような事情がSVG(Scalable Vector Graphics)の登場で急激に変化しようとしています。 インタ−ネット上のデ−タ−交換言語としてXMLの急速な普及が確実視されている今、 その一翼を担うSVG1.0のW3C勧告が2001年秋に出されました。 SVGは既に世界の著名ソフトメ−カ−グル−プの強力なバックアップを得ており、 ごく近い将来には標準で各種のアプリケ−ションで利用可能となるのみならず、 それらの間でグラフィックデ−タを交換する際の世界標準フォ−マットとなりそうです。
SVGの持つ将来性は大きく、 デジタル地質情報への応用という点でも大変魅力的なのですが、 Ohtaとしては今すぐに熱中する気にはなれません (HTMLの歴史を知っている方にはお分かりと思います)。 CD-ROMなどの刊行物で全面的に採用するのにはまだ早いと考えています。 今はHPでの実験的使用を始めながら(梯子をおろされても困らないように)、 勉強だけはしておくべき段階でしょう。
「ベクトルイメ−ジはラスタ−イメ−ジより有利」というような表現をあちこちで見かけますが、
そう簡単には言い切れません。
例えば「ベクトル画像ファイルはサイズが小さくてすむ」という表現には、
「こともある」の一言をつけるべきと思います。
←このようなイメ−ジの場合、
GIFではファイルサイズが5キロバイト程になり、
SVGだと数百バイトで済みます。
この差は大変大きいので、上に書いたようなことが言われるのでしょう。
拡大縮小が容易(スケ−ラブル)ということは大きな利点ですが、
逆にいえばイメ−ジを小さくしてもファイルサイズが小さくならないということです。
また、人物写真などの表現ではjpgなどのラスタ−画像のお世話にならざるを得ません。
「SVGが良い」ことの理由は一つ一つの特徴にあるのではなく、
ポ−タビリテイ・ダイナミックス・フレキシビリテイ・拡張性・将来性を総合的に見た場合、
大変優れているという点にあると思います。
以下では地質調査所の「百万分の一デジタル地質図」をサンプルとして、 ラスタ−イメ−ジ(GIF)とSVGのそれぞれで北海道を描いて見ます。 インタ−ネットで扱うには、 地質図程度の複雑さでもSVGファイルのサイズが大変大きくなることの一例です。 (決してSVGのあら捜しをしているわけではありません)
SVGイメ−ジのペ−ジはIE5.0 + Adobe SVG Viewer の組み合わせでしか動作確認しておりません
北海道地質図のGIFイメ−ジ(1)を見る(約40キロバイト)
北海道地質図のGIFイメ−ジ(1)を見る(約40キロバイト)
北海道地質図のSVGイメ−ジを見る(約650キロバイト,svz圧縮したもので103キロバイト)。